大学時代は農学部、命のつながりを感じながら勉強してました。つちまる(@tcdtkhs)です。
気が付いたら大学を卒業してもう5年がたちます。
そして5年経った今でもはじめましての人とかから、「大学どちらだったんですか?」みたいな話題になることって結構あるんですけど、
ぼくが「農学部卒業です」って答えると大体の人が
「どんなことやるんですか?」って聞いてくる人多いんですよ。
だってほら、理工学部とかだったら
ってなるじゃないですか。
言葉には出してないけどどんなことやってるのか大体予想つくから。
けど、農学部って実際にどんなことやってるのかイメージがわかない人が多いのかな、って印象を社会に出てから感じました。
と勝手に想像してしまいました。
というわけで、5年前に明治大学の農学部を卒業したぼくが農学部はどんなところなのか、解説していきます。
余談ですが、ぼくが卒業した明治大学農学部は私大農学部の最高峰(※獣医系学科除く)であります
農学部とは
農学部概要
農業・林業・水産業・畜産業などに関わる、応用的な学問。農産物の栽培・育種、生産技術の向上、生産物の加工技術などや、生産に関わる社会的な原理、環境の保全など、第一次産業に関わる幅広い事柄を研究し、産業の改良と発展を目指す。広義の自然科学に属し、化学、生物学、地学などを基礎とするが、社会科学も基盤の一部を成す。
(Wikipedia「農学」より
大半の人は農学の文字通り「農学部って農業やってるとこでしょ?」みたいに考える人が多いです。
質の悪い人は農家(笑)的な聞き方してくる輩がザラにいる。ぼくも大学入学直前にこんな風に言われたことがある。
むしろ食糧作ってる人もっと敬えって話で、日本人って食に対しての考え方が軽すぎるんですよね。
こういうところから食を軽視している価値観が見えてしまうんです。
話がずれました。
農学部は確かに農業に関することも勉強してるんですけど、これってほんの一部でしかなくて、実際は他のことを勉強している方の方が圧倒的に多いです。
ちなみに農学部が特殊な点は、理系なのに文系学部でも受験ができるという点。
後述するように農学部の中に文系学科はあるのですが、私大であれば大半が国語が受験科目に入ってるので数学・生物のいずれかが出来れば文系科目で受験が可能です。
実際にぼくの同期で「明治の理系卒の肩書が欲しい」という理由で農学部に入った文系出身の人がいましたし。
というわけでぼくなりに農学部がどんなことしてるのか、農学部生のキャンパスライフ、就職先について説明していきます。
農学部を受験する前に知っておいた方がいいこと
農学部は結構いろんなことを勉強するので、人によってはかなり面白いと思える学部です。
しかし、「ただ面白そうだから」くらいで入ると就職活動など、あとあと苦労することにもなると思います。
なので、農学部を目指しているなら最低限この点だけは抑えておきましょう。
自分が農学部を出てからどんな仕事をしたいか
当然ですが、大学に入ったらゴールではありません。
大学に入る目的は色々あると思いますが、大半の人にとって大学に行く目的は自分のやりたい仕事に就くために必要なことを勉強するためだと思います。
なので、まずは農学部を卒業した人がどんな仕事に就いているのか、調べたうえで自分がどんな仕事をしてみたいのか考えてみましょう。
もちろんあなたが高校生であればアルバイトすらしたことない人も多いと思うのでイメージするのはかなり難しいと思います。
それに自分自身がどんなことに向いているのか、と言うことも分からないと思います。
しかし今はネットを使って仕事に関する情報を集めることが出来ます。
なのでまず向いているかどうかは別として興味がある仕事についてしっかり調べてみるといいと思います。
自分がやってみたい仕事をはっきりさせてから学部を選ぶようにすると、進学してからだいぶ楽になります。
農学部の勉強内容
ここからは農学部の勉強内容について書いていきます。
食品関連から農業系、林業、土壌関連など多岐にわたる学問です。
食品系

ぼくが実際にメインで勉強していた分野。
食品中の栄養成分の分析だとか、栄養素をラットに与えたときの生育や行動面への影響を見たりとか。
ちなみにぼくが実際にやっていたことは「リンゴ中に含まれるポリフェノールをラットに与えたときの影響」について。
結論としてはアンチエイジングや抗ガンの効果が見られた、ということでした。
が、人間の生活に置き換えた場合、リンゴ自体カロリーが高くて実際に継続的に食べてたら太るんじゃね?という疑問があるので一概に僕の立場からは「リンゴは毎日食べたらええで~」なんてことは言えません。
まあでも「リンゴ食べれば医者いらず」なんてことわざもあるくらいなので食べたい人は食べればいいでしょう。
他にはビタミンに関する研究だったり、炭水化物に関することだったりいろいろな分野がありました。
ちなみにここではラットの解剖とか普通にやっていました。
多い時では一度に20,30くらいはラットの臓器を切り捌いたりたりしますね。
慣れてからは何ともなかったけど最初見たときは吐きそうになった。。。
ラットの腎臓とか、見た感じは大豆とほとんど同じですからね。
余談ですが、研究室の後輩がツイッターで「ラット解剖したー!」ってツイートしたら動物愛護団体からクレームが来たんだとかいう話を聞いたことがあります。
命を使わせてもらってるわけですから難しいですよね。
農業系

一番真っ先にイメージできる分野ですね。
ぼくはここ関連の学科ではなかったのですが、うちの学校も農場を持っており、色々耕していました。
ちなみに明治大学では1年時に農場実習と言って千葉の房総半島の方にある農場で2泊3日くらい泊りがけで実習があります。
周りからは不評だったのですが、ぼくは結構楽しめました。
なんてったって4年間の学校生活の中で唯一の泊りがけの実習でしたからね。
グリーンハウス内の温度を変えて栽培してみたり、肥料の成分配合を変えてどう成長していくのか、など?
まあ要するにどうやったら作物が元気に育つのか、ってのを学ぶってことでしょう。
畜産系

畜産も農学にカテゴライズされる分野。
大学によっては「畜産学部」を独立させて持ってるところも多い。
ぼくの説明よりも多分「銀の匙」読んでくれた方が分かりやすいと思います。
農業学校というか、畜産という分野を通して食と命の大切さとかを教えてくれるマンガです。
海洋・水産系
漁業とかそういう系。
こっち系の方とはお会いしたことないので分からないことが多いのですが、
海洋生物の研究だったり、水産物の養殖などがこちらになります。
林業系

木が育つにはどんなことが必要なのか、というのを学ぶところ。
社会人になってから一時期ぼくは独学で勉強していたのですが、日本人全員が勉強してほしいくらい重要な学問だと思う。
なんてったって日本ってもともと森林におおわれていた国ですからね。
実際に勉強で、となるとフィールドに入って間伐したり、木の伐採をしたり、色々力仕事も多いです。
なかなかハードでガッツのいる学問なイメージがあります。
微生物系
分かる人にはわかる、もやしもんの世界。
菌が肉眼で見える人は流石にいませんでしたが、この世界は結構面白いですね。
皆さんの身近なところだと、悪いものだと食中毒、カビとか、良いものだとヨーグルトや納豆といった発酵食品やお酒なんかも微生物が作ってますよね。
ぼくが卒業した後に発酵食品に関するゼミが新設されたと聞いてすごい面白そうでしたもん。
遺伝子工学系
遺伝子組み換え食品とかもこっちの世界ですね。
学生時代にぼくも遺伝子学は勉強したんですけど、めちゃくちゃ難しいです。
なんてったって細胞の更に奥の世界ですからね。
でもはまる人は絶対はまると思われる学問。
土壌系

肥料についての勉強だとか、土壌汚染だとかについて。
最近東京都を騒がせている築地市場の汚染問題なんかはこっち系の分野だと思われる。
有機化学系

めっちゃ難しいんだけど要はあれだ、炭素原子がバーッと連なった物質について勉強するやつだ。
石油なんかそうだし、ぼくたちの身体を構成するたんぱく質とか糖質とかも有機化学から成り立っている。
要はぼくたちが身近で当たり前のように使ってるものもじつはこんな構成をしてできているのです。
地球環境系
皆さんの生活の中で最も身近であろう分野がこちら。
ゼミとかになるとどんな研究をしてるのかはイメージがわかないんですが、地球温暖化、異常気象、海面上昇、生物多様性の保全、などなど。
課題山積みの地球環境問題について学べます。
これも農学系の人に限らず日本人全員に勉強してほしい学問。
ぼくもこれから自然を相手に仕事するから勉強しないとだな~
農業経済系
農学部が他の理系学部と決定的に違う点、それは文系の人でも受験できる点である。
その文系の農学部生が多いのがこの農業経済系の学科。
食糧自給率だとか、ぼくには全然難しくて理解ができないです。
授業も実習とかそういったものは一切なくてカリキュラムも文系と同じ感じで暇なゆったりしたキャンパスライフを送ることが出来る。
農学部生のキャンパスライフ
農学部の授業について
理系学部は文系学部に比べて忙しいというイメージを持たれているかと思います。
農学部は理系なので文系に比べるとやっぱり忙しいです。
実験やら実習があるし、何ならそれのレポートに追われて大変だし。
大学生は遊んでいるイメージがあったぼくにとって、その辺がかなりのギャップでしたww
ちなみに、農学部生だったぼくのとある一週間のスケジュールはこんな感じでした。

9,10年前の記憶を掘り起こしたのでかなり曖昧ですが、実験は多い時で週に3回ありました。
その実験は、早ければ3限終了と同じ時間に終わることもあるのですが、時間がかかる内容だと18、19時くらいまでかかることもあります。
終わりの時間が読めないので、バイトに遅刻する人もザラにいました。
実際に自分も2,3回バイト遅刻してしまいましたしww
反面、授業が午前中だけ、と言う日もありました。
その日はマジで天国でしたね。
男女比とか、学科の雰囲気とか
農学部の男女比は、うちの時は男:女=55:45くらいの比率でした。
理系学部にしてはかなり多い方です。
なので、この点において理工学部の人から羨ましがられることもあったので、女の子と遊べるかと言われると、
人によりますww
ぼくは大学時代はボッチのキャンパスライフを送っていたので、女の子どころの問題じゃなかったですからねww
学部の雰囲気についてですが、学科によりけりだったりします。
うちの学科はチャラい人もいたり、陰キャラ(自分含む)もいたり、でした。
ただ、理工学部に比べるとオタク気質な人はかなり少ないかな、と。
理工学部の人の話を聞いていると、授業中にマリオカートしてるだとか、後方でモンハンやってたりするみたいな話を聞くのですが、農学部の授業でそんなことやってる人は見たこと無かったですね。
この点を考えると、農学部の人は他学部よりは常識人が集まってるのではないかと思われます。
ゼミ・研究室について
うちの学校では大学3年生から研究室・ゼミに配属となります。
学校によっては4年から配属になる所もあるみたいですが、うちの学部では3年生から2年間(修士課程まで進む人は4年間)そこに所属して研究に励みます。
3年時は4年生・修士の先輩の下について研究のノウハウなどを学びながら先輩方の卒業論文制作をお手伝いします。
4年生になってから、自分の研究をスタートします。
ぼくには巡ってきませんでしたが、この期間中に頑張れば学会発表をさせてもらえる機会があるかもしれません。(学会発表は通常、修士課程以上の人が出る)
農学部の就職先について
主な就職先
農学部の就職は基本的には食品・化粧品業界を攻める人が多いです。
- 食品・飲料メーカー
- 食品系商社
- 種苗肥料系会社
- JA
- 化粧品会社
- 健康食品
などがありますね。
ただ、この業界は経済に左右されにくいといわれているので他学部の学生からも人気は非常に高いです。
そのうえ、他業界に比べると枠が結構狭いので倍率はまず高いことも覚えておきましょう。
メーカーに関しては職種は大きく3つあり、
- 営業職
- 工場勤務
- 研究職
が募集されています。
研究職は修士を卒業してもかなり厳しいと聞いたことがあります。
ぼくの知ってる中でも修士を終えられた方は多いですが、研究職に就いた人はいません。
明大クラスでは無理なだけかもしれませんが、真剣に研究職を目指すのであれば博士課程まで想定しておきましょう。
ぼくの就職について
ぼくの就職はというと、この業界に興味が持てなかったので別業界で就活していました。全滅しましたがww
当時のぼくの価値観としては「工場勤務とかお菓子袋詰めしてるんでしょ?やりがい0じゃんww」って感じでしたからね。
※実際の工場勤務の業務内容は全然違います。仕事内容はちゃんと調べておきましょう。
結局4年の12月まで就職先が決まらなかったのですが、結果運よくゼミの教授のコネで食用油脂の検査・分析の機関に採用が決まりました(2年で辞めましたw)
もちろん食品・化粧品業界以外に就職したという人も結構いて、プログラマーもいたり、食品でない営業の人もいたり、就職の選択肢は結構広いです。
とはいえ実際には農学部って理工系よりも就職で活かしにくいんですよ。
農学部卒で農業してる人はいない?
ちなみに進学前には「将来畑でも耕すの?」なんて聞かれたことも結構ありましたが、大学卒業して農家になったという人はぼくは聞いたことはありません。
ただ交友関係が少なかっただけなので説得力が無いかもしれませんが、農業してる人がいるイメージは無いですね。
ただ、今は地域おこし協力隊をはじめとして地方の就職に注目が集まってる今は結構狙いどころかもしれませんね。
畑で作業した経験のある学生なんてそう多くないですし。
まとめ
というわけで、農学部について将来の進路も踏まえたうえで書いてみました。
農業関連以外にもカバーしている学問って結構広いんです。
受験生で農学部に行こうか悩まれてる方はご参考までに。
4月から農学部に進学される新大学生の皆さんはキャンパスライフを楽しんで!